咽頭炎/上咽頭炎
咽頭炎とは
‘咽頭’ は、鼻の奥から食道の入口までの食べ物や空気が通る管のことを指します。
咽頭炎は、何かしらの原因で、その咽頭に炎症が起きている状態の総称です。
症状の現れ方によって 「急性咽頭炎」と「慢性咽頭炎」の2つに分けられます。
‘急性’ と ‘慢性’ のそれぞれで、発症原因や症状の現れ方が違います。
また、どこに炎症を起こしているのか、原因菌やウイルスによって、「上咽頭炎」「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」など 別の病名がついたものもあり名称が複雑です。
そのため、まとめて「咽頭炎」で伝えられる傾向にあります。
急性咽頭炎について
名前のとおり、急に喉の痛みや腫れが起こり、症状が強いものをいいます。
一過性であるため治療を受ければ完治します。
〔原因〕
発症する原因は、ウイルスや細菌が喉に感染して起きます。
インフルエンザウイルスやコロナウイルス、溶連菌といったウイルスや細菌が、喉に付着し炎症を起こすと発症します。
感染経路には、‘飛沫感染’ や ‘接触感染’ があります。
〔症状〕
発症すると、症状が強く安静が必要となるケースがほとんどです。
咳の症状はありませんが、喉の痛みや腫れ/声がれ /が見受けられます。
発熱がみられるケースも多々あります。
〔治療〕
治療には、薬の服用やうがい薬を使用します。
薬物療法の場合、消炎鎮痛剤や抗生物質などが処方されるのが一般的です。
また、炎症を抑えるために、喉に直接塗布するスプレータイプの薬剤を処方されたり、ネブライザーという機器で吸入する治療を行ったり、市販のうがい薬を処方されたりすることもあります。
慢性咽頭炎について
その名のとおり、咽頭炎を起こした状態が慢性化してしまったものです。
長期的に症状が続いている状態であるため、その状態に慣れて放置する方もいますが、早急に対処する必要があります。
なかには、がんの症状であるケースもあります。
〔原因〕
発症する原因は、以下のように複数あります。
・ストレス
・ウイルスや細菌の感染
・胃酸の逆流
・喫煙、大気汚染
・花粉症
・喉の乾燥、喉の酷使 など
〔症状〕
発症すると、以下のような症状が現れます。
・喉の痛み、違和感、異物感
・飲み込みにくい
・声がかすれる など
急性咽頭炎とは違い、激しい症状が出ることは基本的にありません。
〔治療〕
治療は、「認知行動療法」や「Bスポット療法」を行ないます。
*認知行動療法 は、たとえば発症原因がタバコであれば、禁煙したり本数を減らしたりと日常生活の行動を見直して完治を目指す方法です。
*Bスポット療法 は、慢性上咽頭炎で用いられる方法で、綿棒に薬剤をつけて上咽頭に塗布する治療法です。
※ ほとんどの咽頭炎は、手洗いやうがい、手指の消毒で予防が可能です。
また、慢性化した場合はストレスが原因であることもあり、定期的なストレス発散も予防や改善には大切です。
上咽頭炎について
‘上咽頭’ は、喉の上の方の部分をさし、鼻の後方にあり空気の通り道であるとともに、表面には多数のリンパ球があり免疫組織としての役割があり、細菌やウイルスなどの病原体が侵入するとすぐに戦えるようになっています。
この免疫システムを介して炎症が全身に広がり、腎臓や関節、皮膚に炎症を引き起こすことがあります。
その上咽頭で炎症が起きると 「上咽頭炎」と診断されます。
〔原因〕
・ウイルス、細菌感染
・空気の乾燥や冷え
・喫煙
・寝不足
・黄砂
などで発症します。
急性上咽頭炎の代表は「感冒(かぜ)」です。
〔症状〕
・喉の違和感
・ヒリヒリ感のある痛み
・しつこい咳
・鼻の奥あたりが痛む
といった症状が現れます。
空気が乾燥すると、より症状が悪化しやすい傾向にあります。
慢性上咽頭炎になると、上咽頭の免疫システムを介した腎臓や皮膚、関節の症状(腎臓病(IgA腎症、ネフローゼ症候群)や皮膚の病気(掌蹠膿疱症)、関節炎など)や、自律神経の乱れによる症状(全身倦怠感、めまい、睡眠障害、起立性調節障害、集中力低下、過敏性腸症候群、胃もたれなど)が みられることもあります。
〔診断・治療〕
慢性上咽頭炎は、内視鏡で観察するとボコボコしている所見(敷石状変化)があったり、擦過すると強い痛みや出血があります。
治療には、EAT(上咽頭擦過療法、Bスポット療法)を行ないます。
※ 当院では、全例に内視鏡を用い、鼻内・口腔内より処置を行ないます。
他にも、炎症を抑える薬が処方されることもあります。
セルフケアとして、鼻うがいや生理食塩水を使用した上咽頭洗浄もおすすめです。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎について
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、A群溶血性レンサ球菌という蜂巣織炎(ほうかしきえん)や肺炎、化膿性関節炎などさまざまな疾患の原因となる細菌に感染することで引き起こされます。
〔原因〕
A群レンサ球菌が、経口感染や接触感染、飛沫感染によって喉に付着し感染症を引き起こすことが原因です。
※ 感染予防ができる病気であり、手洗いやうがい、混雑時のマスクの着用などで発症リスクが抑えられます。
また、手指の消毒も効果的です。
〔症状〕
喉の痛みや腫れ、赤みだけでなく、38℃以上の高熱が出たり、苺(いちご)舌 がみられたりするのが特徴です。
稀に重症化することもあり、腎炎との合併症や、発疹が喉や舌、全身に広がる「しょう高熱」を起こすこともあります。
〔治療法〕
治療は、ペニシリン系の薬の服用による薬物療法が一般的です。
※ ただし、ペニシリン系はアレルギーを発症することがあり、アレルギーがある方にはエリスロマイシンやセフェム系といった薬が治療に用いられます。
